インプラントの治療費について
インプラントは天然歯に近い噛み心地や審美性に優れた非常に満足度の高い治療法なのですが、保険適用外のために保険診療に比べ治療費が高額になりがちです。その理由は自由診療という要素以外にもいくつかの理由があるのです。
まず、治療費の大きな変動要素になるのがインプラントの上物(上部構造)に使用する材質の違いです。例えば、セラミックなどの審美性の高い材質を使用すると価格が高額になります。
その次に、使用するブランドやメーカーによっても価格差が発生します。過去のデータ蓄積や実績のあるブランドの方が値段が高くなっている傾向があります。
ただ長期間にわたって使用するものですから、より信頼できるメーカーを使っている医院を選ぶと安心でしょう。
そして手術に関わる設備、諸検査、消耗品なども価格に影響してきます。
具体的には、術前診断、CT撮影や治療計画策定、オペ室の有無、モニター機器、術前術後の投薬、局所麻酔、ディスポーザブルの手術用品など、様々なことが価格に影響しています。また、より高いインプラントの技術を提供するために技術向上の研修なども一つの理由になっています。
さらに「サージカルガイド」作成費などもあります。
サージカルガイドを使用することで安全にインプラント埋入ができますので、今では多くの医院で使用されています。これも必要なものと考えておいたほうがいいでしょう。
このように手術をより安全に受けて頂くために治療に不可欠なものを整えていくと、その結果として治療費も高額になってしまう傾向があります。
治療費が高い場合にはそれ相当の理由があり、また逆に低い場合にはそれ相当の理由があるということになります。
また、上記以外に追加で治療費が発生する可能性がある治療もございます。骨が足りない場合や顎の骨が少ない場合には「骨造形術」や「GBR法(骨誘導再生法)」などが必要になってきます。
一般のインプラント手術では使わない材料や技術も必要になってきますので、別に治療費がかかってきます。
そんなインプラント治療ですが、治療費を下げる方法として、インプラントを埋入する本数を減らす方法や入れ歯タイプ(オーバーデンチャー)の上物などにする方法もあります。多数の歯をインプラントにする方や総入れ歯の方の場合になりますが、4本のインプラントで10~12本の歯を支える「All-on-4」という治療法があり、この治療を選択することによって、最終的な治療費を下げられるケースもあります。入れ歯タイプの上物ですと1本ずつの人工の歯と比べ、安価な価格で入れることができますので治療費を下げるには有効な手段となります。ただし「All-on-4」のような少ない本数のインプラントですと、万が一問題が起きた場合、上物を支えられなくなり、最悪、上物が機能しない場合も出てきますので注意が必要です。
また治療費を下げるもう一つの方法として医療費控除の利用があげられます。こちらは所得税をお支払いしている方なら利用できる制度になります。税務署に確定申告を行う必要はありますが、正しく申告することで治療費の一部が返ってくる可能性が高いのでぜひご検討ください。
治療費は確かに無視できないポイントですが、インプラントは寿命が長く、失った歯を補う治療法として、優れた手段といえます。対応する医院によっても、患者様の口腔内の状態によっても、その治療費は変わってきます。悩んでいる方はまず医院に相談してみましょう。専門家ならでのアドバイスをもらえるはずです。